AGAは、主に男性に多く見られる、頭髪の脱毛症です。男性であれば誰にでも発症する恐れがあり、発症する世代も様々です。人によっては、20代の頃から、AGAによって大量の頭髪が抜けてしまうことがあります。では、AGAとは具体的にどういった症状メカニズムとなっているのか、どのような治療をすれば良いのかを解説していきます。

20代の脱毛

男性ホルモンを元にした頭髪の脱毛メカニズム

AGAの主な症状は、頭髪が自然と抜け落ちてしまうものです。そして、具体的な形は人によって様々で、額の生え際の両側から頭髪が抜け始めるM字タイプや、頭頂部が起点となるO字タイプなどがあります。また、額と頭頂部の両方から、頭髪が抜け始めるパターンも珍しくはありません。いずれの場合も、症状のメカニズムは共通です。

AGAの症状は、男性ホルモンであるテストステロンが元となっています。精巣で作られ、筋肉量を維持するという重大な役割を持つテストステロンですが、体内にある5αリダクターゼという酵素と結合すると、DHTという物質に変化します。そのDHTが頭皮にある受容体に到達すると、頭髪の脱毛を促してしまいます。それがAGAのメカニズムです。

AGAの元となるテストステロン自体は、男性であれば誰でも持っているものです。AGAの症状が進行するかどうかは、DHTを作り出す5αリダクターゼの量と活性度で変わります。遺伝によって、5αリダクターゼの量が少なかったり、活性度が低かったりする体質であれば、AGAは発症しにくいです。また、頭皮にある受容体の感度が低い場合も、受け入れるDHTの量が少なくなることで、脱毛を促されにくくなります。その受容体の感度も、遺伝によって決まります。

頭髪の成長サイクルが乱れてしまう

頭髪は、毛穴ごとに一定のサイクルで成長と脱毛を繰り返します。数ヶ月かけて成長した後で、2年から6年程度は生えた状態を維持し、自然と抜け落ちるのが基本です。しかし、AGAを発症するとDHTの働きによって、成長段階で頭髪が抜けてしまうことが多くなります。数年単位で、頭髪が生えた状態を維持するのは難しいです。そして、成長するサイクルが不調を起こすと、太く健康な頭髪ではなく細い毛が生えることが多くなります。細い頭髪は根元も細く、成長段階で抜けやすくなり、AGAの症状がより進行するという悪循環が生まれます。そのようにして、頭髪が生えていない毛穴が増え、頭皮が露わになることでAGAの症状を自覚する人が多いです。

内服薬と外用薬を組み合わせて治療する

AGAの治療方法自体はすでに確立されていて、フィナステリドという成分を含んだ内服薬を使用するのが基本です。フィナステリドは、5αリダクターゼの働きを阻害します。そうすると、テストステロンがDHTに変化しなくなるため、頭髪の脱毛が促されることもありません。AGAの症状が比較的軽度であれば、頭髪が成長するサイクルが正常化され、太く健康な毛が生えてくるようになるでしょう。フィナステリドはあくまでもDHTへの変化を防ぐだけなので、筋肉量を維持するというテストステロンの機能には影響を与えずに済みます。

内服薬と外用薬

ただ、フィナステリドはAGAの症状を食い止めるだけであり、発毛を促進する働きはありません。そのため、ミノキシジルという発毛促進作用のある外用薬と組み合わせることで、効率的な治療を実現できます。また、フィナステリドによってAGAの症状が改善されたとしても、そこで服用を止めてしまうと高い確率で症状が再発します。したがって、毎日服用する必要があります。

メカニズムに合った治療が大切

AGAは、どのような症状メカニズムなのかが、すでに明らかになっています。そして、そのメカニズムに合った治療方法があります。したがって、症状を改善させることは不可能ではありません。ただ、まずは脱毛症がAGAであるということを明確にする必要があります。そのため、病院の皮膚科やAGAの専門クリニックを訪れて、検査を受けるところから治療を始めましょう。